この記事では、債券とは何か、その特徴やリスクまで解説します。
債券ってよく聞くけど、
どんなものなの？
投資を始めたいけど、
債券のリスクやメリットが
よくわからない
実際どういう仕組みの金融
商品？
投資初心者さんに向けて、債券についてくわしく解説します。
債券は国や企業が資金調達のために発行する借用書のような金融商品で、株式と並ぶ代表的な投資手段です。
- 定期的に利子を受け取れる
- 満期になれば額面金額が戻ってくる
上記のような、初心者にも理解しやすい特徴があり、比較的安定した資産運用が可能です。
投資初心者や債券投資に興味がある方に向けて、債券の基本的な仕組みや特徴、5つのリスクをくわしく解説します。
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債券とは国や会社に対する借用書
債券とは、国や企業などが資金を調達するため、投資家からお金を借りるために発行する有価証券です。
借用証書（しゃくしょうしょうしょ）みたいなものだよ。
投資家が債券を購入することは、国や企業などの発行体にお金を貸すことと同じ意味をもちます。
借用証書（しゃくしょうしょうしょ）とは
お金を貸した・借りたことを証明する約束の紙
発行体は借りたお金の対価として、投資家に対して定期的に利子を支払い、満期になったら元本が返済される約束をします。
例えば
100万円の債券を購入した場合、あなたは発行体に100万円を貸したことになります。
見返りとして、年2回などの決められたタイミングで利子を受け取り、5年後10年後といった満期日に100万円が戻ってくる仕組みです。
債券にはさまざまな種類があります！
債券の種類
- 国債：国が発行する債券
- 地方債：地方公共団体が発行する債券
- 社債：企業が発行する債券
- 外債：外国の政府や企業が発行する債券
信用度やリスク、利回りが異なるため、投資目的に応じて選択することが大切です。
債券の特徴
債券には投資商品として、大きく3つの特徴があります。
くわしく見ていきましょう。
1.利子を受け取れる
債券の特徴1つ目は、定期的に利子を受け取れることです。
債券を保有している間、発行体から年1回または年2回など、あらかじめ決められたタイミングで利子が支払われます。
利率は表面利率やクーポンレートと呼ばれ、債券を発行する時点で決定されます。
例えば
額面100万円、表面利率2％の債券を購入した場合、利子は（100万円×2％）で年間2万円です。
この利子収入は満期まで保有する限り安定的に得られるため、定期的な収入源として活用できます。
株式の配当と異なり、業績に関係なく決められた利子が支払われる点も大きな魅力です。
利率は発行体の信用度によって異なります。
国債のような信用度の高い債券は利率が低く、信用度の低い企業の社債は高い利率が設定される傾向もあります。
2.満期日(償還日)に額面金額が戻る
債券には満期日が設定されており、その日に額面金額（元本）が全額返済されます。
満期日とは？
発行体が投資家に借りたお金を返す約束の日のこと。
償還日（しょうかんび）とも呼ばれます。
満期日になると、債券の額面金額が投資家に償還（返済）されます。
100万円の債券を購入していれば、満期日に100万円が戻ってくるってことだね！
この仕組みにより、債券は元本の安全性が比較的高い投資商品といえます。
ただし、これは発行体が倒産しない前提です。
このリスクを信用リスクやデフォルトリスクと呼びます。
満期までの期間は債券によってさまざまで、1年未満の短期債から、30年といった超長期債まであります。
投資目的や資金計画に合わせて選択することが大切です。
3.市場価格で売買できる
債券は、満期前でも債券市場で売買できます。
多くの債券は証券取引所や店頭市場で取引されており、満期を待たずに換金することが可能です。
この際の売買価格は市場価格と呼ばれ、日々変動しています。
市場価格は金利の動向や発行体の信用度、需給バランスなどさまざまな要因で変化します。
途中売却した場合には、元本は保証されません！
例えば
金利が下がると既存の債券の価値が上がり、市場価格は上昇。
逆に金利が上がると、債券の市場価格は下落します。
そのため、債券が値上がりしているときには売却益が得られ、値下がりしていると損失が発生することもあるでしょう。
ただし、すべての債券が活発に取引されているわけではありません。
信用力や知名度が高い国や企業が発行する債券ほど、売りたいときや買いたいときに取引がしやすくなります。
取引量の少ない債券は、売りたいときにすぐに売却できない流動性リスクがあることも理解しておきましょう。
売りたいときにすぐ売れて、買いたいときにすぐ買える状態のことを流動性が高いというよ。
債券がもつ5つのリスク
債券は比較的安全な投資商品といわれますが、以下の5つのリスクがあります。
債券を投資するには、リスクまでしっかり頭に入れておいてください。
1.価格変動リスク
価格変動リスクとは、金利の変動によって債券の市場価格が上下するリスクです。
債券の市場価格は金利と逆の動きをする特徴があります。
市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が下落すると債券価格は上昇します。
これは新しく発行される債券の利率が変わることで、既存の債券の魅力度が相対的に変化するためです。
一般的に満期まで期間が長いほど、価格変動が大きくなる傾向です。
債券の価格変動には、次のような特徴があります。
- 市場金利が低下した場合には、債券の取引価格は上がる
- 市場金利が上昇した場合には、債券の取引価格は下がる
例えば
表面利率2％の債券を100万円で購入した後、市場金利が3％に上昇したとします。
新規発行される債券は3％の利率となるため、2％の既存債券は魅力が低下。
そして、市場価格が95万円に下落する可能性があります。
この時点で売却すると5万円の損失が発生します。
ただし、満期まで保有すれば額面金額の100万円が戻ってくるため、途中売却を考えていない場合は価格変動リスクを気にする必要はありません。
価格変動リスクは、満期前に
売却する可能性がある投資家に
とって大切なリスクです。
2.信用リスク（デフォルトリスク）
信用リスクとは、国や企業など発行体の財政悪化・経営破綻などにより、利子の支払いや元本の返済ができなくなるリスクです。
この事象をデフォルト（債務不履行：さいむふりこう）というよ。
ただし、債券（社債）は株式よりも優先的に弁済されるため、デフォルトになっても元本が全く返ってこないわけではありません。
デフォルトとは
借り手が貸し手に対して、借入金の返済や利息の支払いを約束した期日までに行えない状態を指します。
債務不履行（さいむふりこう）と呼ばれることもあります。
一般的に、弁済額が元本を下回ったり、償還が予定より長期におよぶ傾向があります。
デフォルトって怖いね。
そんな企業は避けたいけどどうやって調べればいいの？
民間の調査会社が発表している格付（かくづけ）によってある程度は判断できます。
国債は国が発行するため信用リスクは極めて低いです。
一方、企業が発行する社債は、その企業の経営状態によって信用リスクの大きさが異なります。
信用度はムーディーズ（Moody’s）やスタンダード＆プアーズ（S&P）の
格付機関を確認しましょう。
信用リスクを軽減するには、複数の発行体の債券に分散投資したり、格付けの高い債券を選んだりすることが対策になります。
利回りの高さだけでなく、発行体の信用力も必ず確認しましょう。
3.為替変動リスク
為替変動リスクとは外国通貨建て債券に投資した場合に、為替レートの変動によって損益が発生するリスクです。
外国通貨建て債券
（がいこくつうかだてさいけん）とは
元本の払込・利息の支払い・償還金の受け取りが、すべて日本円以外の外国通貨（外貨）で行われる債券のこと。
外貨建て債券（がいかだてさいけん）、外債（がいさい）とも呼ばれます。
外貨建て債券では、売却時や満期時の為替相場によって、損失が生じるリスクもあります。
外債を日本円に換算したときの円の価値は以下の通りです。
- 円高になるときは下落
- 円安になるときは上昇
そのため、満期時の為替が円高になっていたときは、元本を割ってしまう恐れがあります。
外国債券では債券自体の価値が変わらなくても、為替の影響で大きな損益が生じる可能性もあるのです。
外国債券に投資する際は、利回りだけでなく為替動向も考慮する必要があります。
為替リスクを避けたい場合は、円建て債券への投資を検討しましょう。
4.流動性リスク
流動性リスクとは、債券を売却したいときに、すぐに適正な価格で売却できないリスクです。
すべての債券が活発に取引されているわけではありません。
取引量が少ない債券は、売りたいタイミングで買い手が見つからなかったり、大幅に安い価格でしか売却できなかったりする可能性があります。
知名度の低い企業の社債や発行量の少ない債券は、流動性が低い傾向です。
流動性リスクを避けるには、国債や大企業の社債など取引が活発な債券を選ぶことが大切です。
また、満期まで確実に保有できる資金で投資することで、このリスクを回避できます。
5.カントリーリスク
カントリーリスクとは債券を発行する国や地域の政治・経済・社会情勢の変化により、投資資金が回収できなくなるリスクです。
新興国や発展途上国の債券は高い利回りが魅力的です。
しかし、次の要因でその国の債券価値が大きく下落したり、利払いや償還が停止されたりする可能性があります。
- 金融危機
- 財政破綻
- 政情不安
- 政権交代
- 戦争
- 災害
- テロ など
国そのものの信用リスクともいえます。
高い利回りにはそれ相応のリスクがあることを理解し、投資する国の政治・経済情勢を定期的に確認することが重要です。
投資判断するために、その国のリスクの高さは、ムーディーズ（Moody’s）やスタンダード＆プアーズ（S&P）で格付を確認してください。
債券購入時は、契約締結前交付書面・目論見書で、必ずリスクは確認しましょう。
【まとめ】債券とは国や会社に対する借用書
この記事では債券とは何か、その特徴や5つのリスクを解説しました。
最後にもう一度、おさらいしよう。
債券とは国や企業などが資金調達のために発行する、いわば借用証書のような金融商品です。
投資家が発行体にお金を貸し、その対価として定期的に利子を受け取ります。
そして、満期日には元本が返済されるという、比較的安定した資産運用が可能な投資手段です。
債券の特徴として、次の3つを解説しています。
- 利子を受け取れる
保有期間中、あらかじめ決められた利率に基づき、定期的に利子が支払われます。 - 満期日(償還日)に額面金額が戻る
満期まで保有すれば、額面金額（元本）が全額返済されるため、元本の安全性が比較的高いとされます。 - 市場価格で売買できる
満期前でも債券市場で売買が可能です。
ただし、この際の売却価格は市場の金利動向などによって日々変動し、元本割れする可能性もあります。
債券とは、満期日を迎えると、投資額満額＋利子を受け取れるので安定性の高い金融商品です。
しかし、以下のようなリスクも存在します。
ただし、どのリスクも事前に特徴を理解しておくことで、影響を最小限にとどめられます。
債券投資する際には、格付会社の評価を確認して、発行体（国や企業）のリスクを把握しておきましょう。
ムーディーズや、スタンダード＆プアーズでチェックしてね。
債券投資するときには、運用益や償還益に税金がかからない新NISAをおすすめします。
新NISAについては、ここでくわしく説明しているので、ぜひ読んでみてください。
