この記事ではETFとは何か、投資信託との違いを含めて解説します。

ETFって聞いたことはあるけど、普通の投資信託と何が違うのだろう?



投資を始めたいけど、ETFとインデックスファンドのどちらを選べばいいのか知りたい。



ETFとは、株式市場に上場している投資信託です。
ETF(上場投資信託)は、株式のようにリアルタイムで売買できる投資信託で、少額から手軽に分散投資を始められる金融商品です。
通常の投資信託と比べて手数料が安く、取引の自由度が高いため、投資初心者から経験者まで幅広く活用されています。



ETFと投資信託を比較しながら、理解を深めていきましょう。
▶︎気になる項目をタップすると、すぐに該当箇所をご覧いただけます。
ETF(上場投資信託)とは


ここではETFとは何かについて解説します。
ETFとは「Exchange Traded Funds」の頭文字で、日本語で上場投資信託と呼ばれています。



証券取引所に上場している投資信託のことだよ。
投資信託と同じように、運用のプロが投資家から集めたお金で株式や債券などの金融商品に投資する金融商品です。
ETFは、市場で売り買いされるため、株式と同じように需要(買い)と供給(売り)によって価格が変動します。
ETFには大きく3つの特徴があります。



ETFの特徴をくわしく紹介します。
1.リアルタイムに売買できる
ETFは金融証券取引所に上場しているため、株式と同じように証券取引所でリアルタイムに売買できます。
通常の投資信託は1日1回しか売買できません。
ですが、ETFは取引所が開いている時間帯であれば、いつでも自分のタイミングで売買が可能です。
例えば
日経平均株価に連動するETFの場合
午前9時から午後3時までの間、その時々の市場価格で購入や売却ができます。
指値注文や成行注文といった株式取引と同じ注文方法が使えるため、希望する価格で取引することも可能です。
市場の動きを見ながら機動的に売買できることは、投資戦略を立てる上で大きなメリットとなります。
急な相場変動があった場合でも、すぐに対応できます。



リスク管理がしやすい点もメリットです。
2.手軽に分散投資ができる


ETFを購入することで、少額から簡単に分散投資を実現できます。
分散投資とは?
複数の銘柄に資金を分けて投資することでリスクを軽減する投資手法のこと
日経平均株価とは?
日本の株式市場を代表する株価指数の1つ。
東京証券取引所プライム市場に上場している銘柄の中から、日本経済新聞社が選定した225銘柄の株価をもとに算出されます。
個人投資家が225社すべての株式を個別に購入するには莫大な資金が必要です。
ETFなら数千円から数万円程度で同じような投資効果を実現できます。



ETFを通して、次のような商品にも投資できます!
ETFで投資できる指数や資産
- 国内株式
- 海外株式
- 債券
- 不動産(REIT)
- 金
- 原油 など
これらを組み合わせることで、世界中の様々な資産に分散投資が可能です。
投資初心者でもETFを活用すれば、専門知識がなくても効率的な分散投資ポートフォリオを構築できるでしょう。



長期的な資産形成に適しています。
3.値動きがわかりやすい
ETFは、連動する指数や資産の値動きと基本的に同じように動くため、価格変動が理解しやすいという特徴があります。



特定の指数に連動するように作られた商品をインデックス投資信託と呼ぶよ。
日経平均株価に連動するETFの場合、ニュースや新聞から情報が得られるため値動きを追いやすいです。
日経平均株価に連動するETFであれば、日経平均が1%上昇すればETFの価格もほぼ1%上昇します。
ニュースで「今日の日経平均は300円上昇しました」と聞けば、保有しているETFがどの程度値上がりしたかすぐに把握できます。



ETFは運用方針が明確ですよ!
どのような資産に投資しているかが公開されているため、透明性が高いです。
S&P500に連動するETFなら米国の代表的な500社に投資していることがわかります。
S&P500(エスアンドピー500)とは?
アメリカを代表する株価指数。
米国の上場企業の中から代表的な500銘柄を集めて作られています。
金価格に連動するETFなら金の値動きを追いかけていることがわかります。
このような透明性の高さは、投資判断を行う上で重要な要素となります。
ETFと投資信託の5つの違い


ここでは、ETFと投資信託の5つの違いを解説します。



ETFと投資信託の違いを表でまとめたよ。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
上場の有無 | 上場 | 未上場 |
購入場所 | 証券会社 | 証券会社・銀行・郵便局 |
銘柄数 | 約300本 | 約6,000本 |
指値注文 | 可 | 不可 |
分配金 | 現金受取のみ | 現金受取 もしくは再投資 |
手数料 | 低い | 高い |
購入価格決定の タイミング | リアルタイム | 1日1回算出される |



指値とは、いくらで買いたい、売りたい、といった金額を指定して売買することだよ。
それぞれ見ていきましょう。
1.購入方法
ETFと投資信託は、購入できる場所と購入方法が大きく異なります。
ETF
ETFは、証券会社の口座を通じて証券取引所で購入します。
株式と同じように、取引時間中であればリアルタイムで売買でき、指値注文や成行注文など様々な注文方法が使えるのです。
購入単位は1口単位で購入でき、銘柄によっては数千円から投資を始められます。
売買手数料はかかりますが、最近では手数料無料で取引できる証券会社も増えています。



取引するとき表示された金額で売買できるのは、安心ですね!
投資信託
投資信託は証券会社に加え、銀行や郵便局で購入できます。
投資信託は金額指定で購入でき、100円から積立投資ができる証券会社もあります。
その場合は取引価格(基準価額)の変動によって、買える口数が変わるのです。
購入時手数料がかかる商品とかからない商品(ノーロード)があり、販売会社によって手数料が異なることもあります。



投資信託は1日1回の基準価額で取引されるので、正確な金額は後からわかる仕組みです。
2.銘柄数


日本で購入できる銘柄数は、投資信託の方がETFよりも圧倒的に多いです。
ETF
ETFの銘柄数はおよそ300本です。
このうち、金融庁の条件を満たす新NISAつみたて投資枠では、投資可能なETFがわずか8本のみです。(参照:金融庁 つみたて投資枠対象商品)
いずれも主要な株価指数に連動するものが中心で、シンプルでわかりやすい商品設計になっています。



日経平均・TOPIX・S&P500といった代表的な指数に連動するETFが人気です。
ETFは、投資信託に比べ銘柄数は少ないものの、
「構成銘柄の開示が頻繁に行われる」「取引価格がリアルタイムでわかる」ので透明性が高く、投資信託に比べて運用コストが低い商品が多いという特徴があります。
投資信託は販売会社を経由して購入しますが、ETFは証券取引所で売買するので、低コストの傾向です。



ETFは原則、毎営業日そのETFが保有している銘柄と構成比率が公開されています。
投資初心者にとっては、選択肢が多すぎると迷ってしまうこともあるため、ETFの方が銘柄選びしやすいという見方もできます。



重要なのは、銘柄数の多さではなく、自分の投資目的に合った商品を選ぶことです。
投資信託
投資信託の銘柄数は約6,000本あります。
様々な運用会社が独自の運用方針で商品を開発しているため、種類が豊富です。
特定のテーマに投資するファンドや、アクティブ運用で市場平均を上回ることを目指すファンドなど、選択肢が幅広くあります。
ファンドとは?
多数の投資家から資金を集めて1つの大きな資金(基金)とし、それを専門家が運用します。
得られた収益を出資者に分配する仕組み全体を指す言葉です。
アクティブ運用とは?
市場の平均的な収益率(ベンチマーク)を上回る収益の獲得を目指す積極的な運用手法のこと。
3.分配金
ETFと投資信託の分配金には、支払われ方に違いがあります。
ETFの分配金
ETFの分配金は、決算時に現金として投資家の証券口座に振り込まれます。
分配金を受け取った投資家は、その資金を再投資するか、生活費として使うかを自由に選択できます。
分配金の頻度は年1回から4回程度が一般的で、分配金利回りは銘柄によって異なるのです。
ETFでは分配金を再投資できず現金で受け取らなければならないので、その都度、約20%の税金がかかります。



新NISAなら、新NISA口座内で得た利益は非課税です。
投資信託
投資信託では、分配金を自動的に再投資する「再投資型」と、現金で受け取る「受取型」を選択できます。
再投資型を選ぶと、分配金で同じ投資信託を自動的に購入するため、複利効果が期待できます。
また、投資信託には毎月分配型のファンドもあり、定期的な収入を求める投資家に人気です。
ただし、分配金が支払われると基準価額が下がるため、分配金の有無だけで商品の良し悪しを判断することはできません。



長期的な資産形成を目指す場合は、分配金を再投資することが効果的です。
4.手数料


ETFと投資信託の手数料について見ていきましょう。



購入時・運用時・売却時の手数料をまとめたよ。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
購入時 | 信託報酬 | 購入手数料 |
運用時 | 信託報酬 | 信託報酬 |
売却時 | 売買手数料 | 信託財産留保額 |
ETFと投資信託をそれぞれ説明します。
ETF
ETFの主な手数料は、売買手数料と信託報酬です。
- 売買手数料(ばいばいてすうりょう)
株式と同じように取引ごとにかかる手数料。
最近は手数料無料の証券会社も増えている。 - 信託報酬(しんたくほうしゅう)
保有期間中ずっとかかる運用管理費用で、年率0.1%から0.5%程度が一般的



ETFは、投資信託より手数料が安いのが特徴だよ。
ETFは、取引所で直接商品の売買をするので、販売会社への手数料が不要なため、コストが抑えられています。



購入時の信託報酬がない証券会社もあるよ。
投資信託
投資信託の手数料は、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額の3つがあります。
- 購入時手数料(こうにゅうてすうりょう)
取引ごとにかかる手数料。
新NISAでは、ノーロードと呼ばれる手数料無料の商品が選ばれている。 - 信託報酬(しんたくほうしゅう)
投資信託を保有している期間中ずっと発生する、運用管理費用のこと。
年率0.2%から2%程度と幅があり、アクティブ運用のファンドほど高い傾向がある。 - 信託財産留保額(しんたくざいさんりゅうほがく)
解約時にかかる手数料で、0%から0.5%程度かかる。
長期投資を考えると、信託報酬の差が運用成果に大きく影響するため、コストを意識した商品選びが重要です。
5.購入価格決定のタイミング
ここでは、購入するタイミングの違いを説明します。
ETF
ETFは、市場価格でリアルタイムに取引されるため、注文した瞬間の価格で購入できます。
取引時間中は常に価格が変動しており、板情報を見ながら希望の価格で指値注文を出すことも可能です。
板情報(いたじょうほう)とは?
証券取引所に出されている特定の銘柄や金融商品の売買注文状況を、価格帯ごとにリアルタイムで一覧表示したもの。
指値(さしね)とは?
金融商品の取引において、売買する価格を投資家が具体的に指定して出す注文方法のこと。
投資信託
投資信託の購入価格は、注文した日の基準価額で決まります。
ですが、この基準価額は取引終了後に計算されるため、注文時点では価格がわかりません。



ブラインド方式といいます。
購入価額は、国内投資信託は当日夜に、海外投資信託は翌日の夜に取引価格が決まるのです。
そのため、購入するときは、前日の基準価格を参考に判断する必要があります。
また、投資信託の購入は、金融機関が定めた申込時間に注文を出さなければなりません。
ETFとは|まとめ


この記事ではETFとは何かについて、投資信託との違いを含めて説明しました。



もう一度、見ていくよ。
ETF(上場投資信託)とは、株式のようにリアルタイムで売買できる投資信託のことです。
ETFには次の特徴があります。
株式と同じようにリアルタイムに売買できる金融商品で、少額から分散投資できます。
連動する指数や資産の値動きと基本的に同じように動くため、価格変動が理解しやすいという特徴もあるのです。



ETFと投資信託の主な違いを見ていきます!
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
上場の有無 | 上場 | 未上場 |
購入場所 | 証券会社 | 証券会社・銀行・郵便局 |
銘柄数 | 約300本 | 約6,000本 |
指値注文 | 可 | 不可 |
分配金 | 現金受取のみ | 現金受取 もしくは再投資 |
手数料 | 低い | 高い |
購入価格決定の タイミング | リアルタイム | 1日1回算出される |
どちらを選ぶかは投資スタイルによって異なります。



それぞれ次の特徴がある人に向いています。
- ETFに向いている人
手数料を抑えながら、自分のタイミングで売買したい人 - 投資信託に向いている人
分配金を再投資してくれるため、ほったらかしで投資したい人
それぞれの特徴を理解した上で、自分の投資目的や資金計画に合わせて選択することが大切です。